Arkitektskolen Aarhus

アイディア、創造性、学びのための実験環境

デンマークの建築設計事務所ADEPTがそのデザインを“建築ファクトリー”と呼ぶAarhus School of Architecture。オーフスにあるこの学校は元々、貨物倉庫だった12,500平方メートルの敷地に新築された建築学校です。

実験的な生きた建築物

目指したのは、将来のニーズや要件に容易に対応でき、丈夫な構造を持つ、実験的な生きた建築物。コンセプトについてADEPTのパートナーである Martin Krogh 氏は「これこそが、アイコンでは無く、アイディア、創造性、学びのための真っ新なキャンバスとしての、ワークショップのような建物のデザインにインスピレーションを与えました」と語っています。

透明性、開放性、柔軟性

階段状の建物の外観は、コンクリートの支持構造と、スクリーンファサードが造り出す広いガラス面が、透明性と開放感を感じさせます。特徴的な外観のエレメントは内部にも続いています。チェス盤のように配置された支持構造によりブロック状に区切られた空間には、ワークショップ、講堂、トイレ、倉庫、技術エリアが配され、ブロックを分けるように設けられた吹き抜けの空間が、建物内部を垂直に区切ります。建物の周りや吹き抜けの空間のフリースペースは、様々な用途でフレキシブルに使用できる作業エリアとして利用されています。そして建物の中でも、特に印象的なのが、3階の北西に配された図書館です。コンクリート構造の建物の中に作られた木製の図書スペースは、梁工法による素木の木肌、風合いがぬくもりと優しさを感じさせ、アットホームな雰囲気を醸し出しています。

素材そのままの荒々しさを残したコンクリートの仕上げ、スチール製の階段、むき出しの配管そしてガラスのファサードなどを用いたインダストリアルスタイルが特徴的なデザインは、サニタリーエリアにも表れています。パイン材のドアが設置されたトイレは、壁一面に貼られた正方形の白いタイルがクリーンな雰囲気を演出し、空間に溶け込むように設置されたME by Starckの壁付けトイレが、ミニマリズムの美学を造り出しています。洗面ボウルには、内面とエッジの直線的で正確な形状が印象的な、Vero Airシリーズの幅60cmと120cmがセレクトされました。

Martin Krogh 氏はデザインについて「文字通りの透明性だけでなく、どの空間が大学、そして都市に属しているかを問うことによって、外と中の空間が互いに溶け合うように設計されています。これは、都市環境と大学がやがて建物へ答えを示してくれるように、この新しい建物は、都市の中において本当の意味で、まだ完成していないのです。そしてそれはユーザーだけが完成させることができるのです」と語っています。

Aarhus School of Architectureでは生徒や教員のための実験環境の場として、文化、ビジネス、および教育のオープンなプラットフォームである非営利団体Institute for Xなど、近隣との交流も行われています。